何が対象?確定申告で医療控除を受ける時の注意点4つ

ずっと健康でいられれば病院にかかることもないのですが、いくら気をつけていても病気にかかり、病院にお世話にならなくてはならない時があります。そしてその費用は決して安いものではなく、時には高額な治療費を支払わなくてはいけないことも。

そんな時に味方になってくれる制度が医療費控除という制度です。これを上手に活用すれば、支払った治療費負担を軽減させることが出来るのです。

今日は医療費控除をテーマにどんなものが対象となるのか、注意点などもあわせて解説していきます。

医療費控除の対象範囲

まずは対象範囲からご説明していきます。

・診察、治療のほか、入院中のベッド費、食事、松葉づえなどの購入費
治療に必要な医薬品費
・歯科治療費
・療養中、親族以外にお世話をしてもらった場合にかかった金額
・助産師、介護福祉士による介助費用
・介護保険制度における居宅サービス、介護施設などの負担費用
・柔道整復師への施術費

おもにこのような費用が対象となっています。

非対象となるケース

対象か非対象か見分けるポイントとしては、
“病気を予防するためだけに行った検査か”“治療が必要となった検査か”
ということです。

例に挙げるとすれば、体の隅々まで異常がないかを調べることが出来る人間ドッグが分かりやすいでしょう。この検査で何の異常も見つからず、健康体であった場合には病気を予防するために受けた検査となり、その費用は非対象となります。

一方、何か治療が必要な部分が見つかった時には、治療のための検査に変わり、検査費用も含めた治療費が対象となるのです。

何が対象?確定申告で医療控除を受ける時の注意点4つ

こんな費用は対象外!ケース別の注意事項

ただ、歯科治療や入院など、控除を受けられるはずのケースにおいても対象外となる費用があるため、チェックしておきましょう。

1.歯科~保険外の特殊治療~

歯科治療において、金などの高価な材料を使用した治療も一般的に行われていますね。これについては問題ないのですが、美を目的とした矯正費用などは対象となりません。

2.入院~出前などの食事費用~

病院から患者へ提供される食事代については含めることができますが、個人が自ら頼んだ出前や外食などは含めることができません。

また、入院するにあたって購入したパジャマなども対象外です。

3.お産~帰省費用~

定期検診、検査にかかった費用は全て控除対象となりますが、里帰り出産でかかった帰省費用は含められません。

4.通院費~自家用車や駐車代~

対象となるのはバス・電車等を利用した場合のみで、自家用車にて通うことでかかる駐車代・ガソリン代は対象外です。

このようなケースに注意しながら総医療費を計算していきましょう。

控除手続きに必要な書類

それでは確定申告で控除を受けるために必要な書類をご紹介していきます。

確定申告書類…税務署で受け取る。またはウェブサイトからプリントアウト
・領収書…税務署へ提出。ウェブ申告の場合添付不要 ※ただし原本は5年間要保存
・医療費の明細書、通知書
・源泉徴収票…サラリーマンのみ

あとはe-taxでのネット申告で済ませる、または税務署へ出向き書類を提出すれば完了となります。

何が対象?確定申告で医療控除を受ける時の注意点4つ

還付される金額の例

最後に、2つのケースから見る還付金の例をみていきましょう。

50万円の医療費を負担したAさん

Aさんは今年、出産費用や入院費用として30万円の医療費を支払いました。しかし、出産は育児一時金を国からもらうことができますね。入院費用に関しても、加入している保険の対象であったため保険金が支払われました。

すると実際には8万円程度しかかかっていないことが判明しました。この場合には医療費控除対象額は0円となり、税金は還付されません。

25万円の医療費を負担したBさん

BさんはAさんよりも半額の医療費が年間かかっています。しかし保険金での補填もなく、純粋に25万円の支払いをしていました。

この場合は当然医療費控除額10万円となり、申告にて還付金を受け取ることができるのです。ただ25から10を引いた15万円が戻ってくるかというとそうではありません。

控除額は還付される額ではありません

医療費控除申告によっていくら還付されるのかは、その方の所得税額によって変わります。高所得者ほど納税額が多いため、還付金も多くなります。反対に低所得者は還付金が少なくなるということです。

Bさんが課税所得300万円であれば所得税率10%となるので、還付金は1万円となります。ただ、住民税からの控除も適用されるため、手間は要するものの、申告しておいて損はないでしょう。

いかがでしたか?医療費控除は確定申告によって適用されます。保険金で補填された時には注意が必要ですが、対象となる治療費が10万円を超えているようならきちんと申告しておくことをおすすめします。

サラリーマンの方でも身近になりつつある確定申告。不安なことや分からないことがあれば、最寄りの税務署へ相談してみて下さいね。