確定申告には、白色と呼ばれる基本申告方法と、事前に承認を受けることでできる青色と呼ばれる申告方法が存在します。基本的には申請をしなければ白での申告となるため、初めは白色申告を利用する方が多いことでしょう。
しかし、初めての方にとっては、確定申告書類の作成から日々の帳簿付けまで、難しく感じることばかり。白色なら簡単だと聞いていた記帳も、いざつけ始めると“これで大丈夫なの?”と不安な点が出てくると思います。
そこで今回は、白色申告で必要となる“法定帳簿”にテーマをしぼり、解説していきます。付け方や申告時に楽になる記帳のコツなどもお話していきますので、ぜひ参考になさってください。
白色申告の記帳の仕方
冒頭でお話した通り、白色での申告においては“法定帳簿”が必要となります。書式に指定はありませんが、収入と経費を明確に記載しておく必要があります。
まず基本的事項としては、
・日付
・摘要
・お金の動き
・勘定科目
をしっかり記していくことです。
例
たとえば4月5日に「○○商事」へ商品を納品したとします。
このとき記す必要があるのは、
・売り上げを得た日付=4月5日
・摘要(要点)=掛売り上げ ○○商事
・売上金額 〇円
となります。
多くの会社は商品の代金を後日に受け取る掛け売りをしていることが多いため、今回は掛売り上げとして記帳しています。販売業を営んでいる場合は、基本的に商品引き渡し時に売り上げ計上を行うため、こういった記帳をつけることになります。
売上金額もその時に記載しますが、後で請求書を発行し、代金を回収するという流れになるでしょう。
白色申告ならではの簡単な記帳のコツ
本来であれば先に解説した通り、取引があった日付ごとにひとつずつ記帳していくのが帳簿付けですが、白色申告では簡易的な記載が認められています。同じ日に何度も取引があると、それだけで記帳が億劫になってしまいますが、簡単なコツを利用すれば手間を省くことが出来るのです。
1日分の売り上げをまとめて記載
12月1日に3つの取引きがあり、売り上げを得たとします。
通常なら、
12月1日 掛売り上げ 株式会社○○ 売上金額 9000円
12月1日 現金小売り 売上金額20000円
12月1日 掛売り上げ ○○屋 売上金額3000円
と記載していくことになりますが、これをひとつにまとめことが可能となっているのです。
まとめて記載した例
12月1日 掛売り上げ 納品書♯01.02.03 売上金額 32000円
このように記載します。ここでポイントとなるのが納品書の控えをきちんと保管しておくことです。番号を摘要欄に記しておくことで、どの納品書に取引先名や金額が記されているのかを確かめることができます。
これはもちろん経費を記帳していく際にも役立つ方法です。
1日分の経費もまとめて記載
5月7日 蛍光灯 ○○電気 消耗品費 3000円
5月7日 ボールペン ○○マート 消耗品費 250円
たとえばこれをまとめて計上する場合は、以下のような書き方をします。
まとめて記載した例
5月7日 蛍光灯代、ボールペン代 消耗品費 3250円
ただ、勘定科目が“消耗品費”という同一であることが条件となるため、家賃や光熱費の経費計上を消耗品費とまとめることは不可です。
このコツを覚えておくだけでも日々の記帳がスムーズになるでしょう。
申告書類を楽に作成するためのコツ
では続いて、確定申告書類を楽に作成していくためのコツについてもお話していきます。ここでも帳簿の付け方がポイントになってきます。
収支内訳書の内容と同じにする
白色では収支内訳書という書類を申告時に作成し、提出する必要があります。ここで注目したいのが、経費を記載する欄です。
日々行う経費の記帳の勘定科目の内容や並びを収支内訳書と同じようにしておくと、転記するときに便利になるのです。
収支内訳書の経費区分
・給料賃金
・外注工費
・減価償却費
・貸倒金
・地代家賃
・利子割引料
・租税公課
・荷造運賃
・水道光熱費
・旅費交通費
・通信費
・広告宣伝費
・接待交際費
・損害保険料
・修繕費
・消耗品費
・福利厚生費
・雑費
このような並びで記されているので、この通りに区分を設けておくと作成時に順番に該当する箇所を埋めていくだけでよくなります。
とっても簡単なコツではありますが、漏れがないよう埋めていくためにはこういった工夫を取り入れておくべきといえるでしょう。ひとつのミスがあれば、再提出しなくてはならなくなるほど、正確さや正しさが求められます。
まだ慣れない間は、いかに簡単でミスのないように作成できるか、提出書類と照らし合わせながら日々の記帳に取り組んでみて下さいね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は、白色申告の帳簿付けについて詳しくご紹介してきました。そろそろ年末が近づいてきたので、1年の終わりももうそこまでやってきています。確定申告期間が始まると同時にスムーズに提出できるよう、今から準備をすすめていきましょう。